1、番犬
人間が犬に対して最初に利用した仕事と言われている。元々は、なわばりを守るという犬の本能から、野生の肉食獣の存在を知らせたり追い払ったりしてくれた、これによって犬は家畜化されたとも言われている。
現在では家庭の番犬から店舗や工場の警備など幅広く利用されている。
様々な犬種に改良された結果、向き不向きがある。よく吠える防衛本能の強い犬種が適している。
- なわばりを守るという犬の本能を利用したもの。
- 野生の肉食獣の存在を知らせ、追い払い、時には戦う。
- よく吠える防衛本能の強い犬種が適している。
2、猟犬
猟犬は、鳥猟犬<ガン・ドック>と獣猟犬<セント・ハウンド>に分けられ、性質も本能の大きく異なる。
鳥猟犬
鳥猟犬は仕事内容によって以下のように分けられる。
- 地面に休んでいる鳥を発見して、睨みつけることで鳥を動けなくし、あとは主人の合図を待って鳥を飛び立たせる。昔の鉄砲は一発ずつしか打つことができなかったのでこのような仕事をさせていたが、近年では鉄砲の改良によりこのような使われ方は減少している。
主にイングリッシュ・ポインターやイングリッシュ・セターなどが使われてる。 - 主人が撃ち落とした鳥を探して持ってくる。
この仕事に使われている犬種は、物をくわえて運ぶことを得意とし、水鳥などを泳いで持ってこなければならないので泳ぎも上手い犬種が多い。
主にゴールデン・レトリーバーやフラットコーテッド・レトリーバーなどのレトリーバー種が多く使われている。
レトリーバーとは、『回収する』(レトリーブ)に由来している。 - 鳥を追い立てて、思った方向に飛び立たせる。
猟師の待ち構えている方向に鳥が飛ぶように追いたてたり、網を張ってある方向に飛び立たせたりしていた。
主にイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルやウェルシュ・スプリンガー・スパニエルなどが使われている。 - 仕事内容は1・2を行うが、特にシギ(コック)猟に使用したのが、アメリカン・コッカー・スパニエルやイングリッシュ・コッカー・スパニエルなどである。
獣猟犬
獣猟犬は獲物の発見および捕らえ方で大きく二つに分けられる。
- 獲物が通った跡を鋭い嗅覚を利用して追跡し、追い詰めたり捕らえるタイプで嗅覚ハウンド(セント・ハウンド)と呼ばれている。この仕事は元々、犬の本能なので非常に多くの犬種が使用されている。
主にビーグルやダルメシアンなどが使われている。 - 眼で獲物を発見し、ハイスピードでいっきに追走して捕らえるタイプで、視覚ハウンド(サイト・ハウンド)と呼ばれる。このタイプは、遠くを見るための発達した視力と高い体高、いっきに捕らえるためのスピードが求められるので、大型で細身の犬種がほとんどである。
主にアフガン・ハウンドやボルゾイなど使われている。
3、牧羊・牧畜犬
4000年くらい前から使われている仕事で、もともとは家畜を肉食獣から守るための番犬だったが、現在では監視や誘導などの仕事もするようになり、国によっては羊や牛だけではなくアヒルやニワトリなどの家畜類の面倒を見るように訓練されている。よく訓練された犬では、3〜4頭で800〜1000頭くらいの羊の群れをまとめることができる。この仕事に使用される犬種は、狩猟欲を弱め防衛力を高められた犬種である。
主にボーダー・コリーやオールド・イングリッシュ・シープドックなど使われている。
4、そり犬
もともとは極寒地方での移動手段として使われていたが、車やスノーモービルなどの発達により移動手段としてよりも、スポーツ化されたものが主流となってきている。
世界最大の犬ぞりレースは、アラスカで毎年行われる『アイディタロッド・レース』で1900kmの距離を約2週間かけて行われている。このレースは、1925年にアラスカのノームでジフテリアが流行し、血清を送るためにいくつもの町で犬ぞりが結成され、リレー方式で輸送されたことをきっかけに行われるようになった。
またこの時の犬たちを代表して、最終チームのリーダードックをつとめた『バルト』の銅像がニューヨークのセントラルパークに建てられている。
そり犬は、寒さに耐える密集したダブルコートの被毛を持ち、長時間そりを引くだけの体力、持久力、スピードを兼ね備えていなければならない。
主にシベリアン・ハスキーやアラスカン・マラミュートなどがいる。
5、警察犬
犯罪捜査やパトロールなどに使う犬で、優れた嗅覚をり利用して犯人の追跡を行ったり、指導手の指示により犯人を襲撃したりする。日本で警察犬が初めて導入されたのは1907(明治40年)で神奈川県警本部が使用した。
現在日本で直轄警察犬と嘱託警察犬の2種類があり、直轄警察犬は警察が直接しているもの、嘱託警察犬は民間人所有の訓練犬で必要な時に借りて使用するものである。
主にジャーマン・シェパード・ドックやゴールデン・レトリーバーやラブラドール・レトリーバーなど使われていた。
6、盲導犬
1916年にドイツで、戦傷盲人などのために考案されとのが始まりで、日本では1957年に現在アイメイト協会理事長である塩谷賢一氏により第一号が作出された(ジャーマン・シェパード・ドックの『チャンピー』)
基本的な仕事としては、目の不自由な人を誘導し、段差や交差点、障害物や危険を知らせる。しかしそれだけではなく精神的な心の支えとなっている部分も非常に大きいという。
現在日本では800〜900頭の盲導犬が実働しているが、まだまだ不足しているのが現状である。(アメリカでは約1万頭、イギリスでは約4千頭)
また盲導犬を育成するためには、数多くのボランティアの協力が必要であり、協会によって異なるが、盲導犬の繁殖を手伝う『ブリーディングウォーカー』、仔犬を1年間預かり育てる『パピーウォーカー』、盲導犬としての適性審査で不合格になってしまった犬を引き取る『リジェントウォーカー』、引退した盲導犬の老後のめんどうをみる『リタイアウォーカー』などである。
現在日本では、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、ジャーマン・シェパード・ドックの3犬種および、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバーの雑種が使用されている。
7、聴導犬
耳の不自由な人のためにチャイムや電話のベル、目覚まし時計などの様々な音を知らせるように訓練された犬である。
1976年にアメリカで、自分の娘のために両親が愛犬を訓練士に依頼したのが始まりだと言われている。
日本では1981年から訓練が開始され、1984年に第一号が誕生した(シェットランド・シープドック)の『ロッキー』
1996年には、『ジャパン聴導犬協会』から現在は『日本聴導犬協会』に改名。
本来ならば殺処分されてしまう犬の中から適正のある犬を選別し、育成・訓練している。このほかにも『ヒアリングドックを育てる会』などもあるが、日本での実働数は全国で60頭にも満たないともいわれている。(2022年10月21日現在では58頭)と盲導犬に対して、聴導犬の認知度は低い。(アメリカでは約3000頭、イギリスでは約500頭)
また、聴導犬を育成するためのボランティアとしては、仔犬を数ヶ月間育てるボランティアや、各種のイベントを手伝うボランティアなどがある。
犬種としては、さまざまで現在では雑種が中心となっている。
8、介助犬
さまざまな障害を抱えている人の補助をする犬で、車いすを引いたり、落ちした物を拾ったり、障害者一人一人のニーズに合わせた訓練を行う。また、広義では盲導犬や聴導犬など、人の生活を補助する犬全般を指すこともある。
1975年にアメリカで考案されたのが始まりであり、日本では1990年に『パートナードックを育てる会』現在は『日本パートナードック協会』に改名。設立され、1992年にアメリカから貸与され第一号が誕生した(チェサピーク・ベイ・レトリーバーの『ブルース』)。
このほかに、『介助犬を育てる会』や『日本介助犬アカデミー』、『日本介助犬協会』などいくつかの団体が設立されているが、実働数は数頭というのが現状である。
セラピーとアクティビティとの厳密な境目はないが、治療目的および医療効果を高めるために動物を使用することをセラピーと呼び、精神面に良い影響を与えたり、社会生活を豊かにするために動物を使用し、いろいろな施設などを訪問することをアクティビティーとしている。ただし日本では総称してアニマルセラピーといわれることが多い。
現在さまざまな動物が使用されており、乗馬によるものが有名だがその中の一つとして犬も使用されている。活動場所としては、精神科医療、老人医療、小児医療、機能回復訓練施設、障害者施設、児童福祉施設、老人ホームなどである。
日本では日本動物病院福祉協会が行なっている、『コンパニオン・アニマル・パートナーシップ・プログラム』活動や日本障害者乗馬協会、日本乗馬療法協会、乗馬療法協会ジャパンなどの乗馬によるものが有名である。これらの活動もボランティアの協会により、各種の福祉施設を訪問したり、ふれあいの場を設けたりして、老人や児童、心身に障害のある方達を対象に精神面や社会面、リハビリテーションなどの手助けの一環として行なわれている。
現在、使用犬種はさまざまで障害に合わせて選択されている。
- 『動物介在療法(アニマルアシステッドセラピー)』治療に動物(犬・馬)の力を借りて人の精神的あるいは肉体的、社会的、感情的、または認知機能を改善、健康状態を向上させるために実施される代替療法又は補完療法の一種です。
- 『動物介在活動(アニマルアシステッドアクティビティ)』高齢者施設などを訪問して、動物たちとふれあうことによる情緒的な安定、レクリエーション、生活の質の向上を目的としたふれあい活動の一種です。